「やらいでか」「生きらいでか」の意味

最近、漫画の『ワンピース』を今更ながら読み返しています。

読み返していると言っても、僕が読んでいたのは、確かチョッパーが仲間入りしたあとくらいまでで、ちょうどその頃、色々と忙しくなったこともあって、漫画を読む習慣から遠ざかったこともあり、しばらく読んでいませんでした。

読んでいないうちに、ワンピースはどんどん先に進み、置いていかれれば置いていかれるほど、今更追いかけても、追いつかないだろうな、という思いが膨れ上がり、気づいたら、ずいぶんと長い年月が経っていました。

それにしても、ワンピースは一体いつから連載しているのでしょうか。連載開始のときにジャンプで読んでいた記憶は朧げながら残っています。

確かあれは、小学生か中学生くらいのことで、海賊の漫画が始まるんだな、斬新だな、といった軽い印象だったように思います。

ワンピースが始まった時期を調べると、開始が１９９７年からということなので、連載開始のときに生まれた子が、もう立派な大人で、しかも今なお大人気ということも改めて凄いなと思います。

長編漫画を欠かさず読み続ける、ということもなかなか体力や気力が必要で、そのこと自体から離れていたのですが、久しぶりに、ゆっくり漫画でも読んでいこうかなという気持ちになり、ワンピースもまた、序盤のほうから読み始めています。

今は、ワンピースの１２巻で、ルフィたちが、海賊王ゴールド・ロジャーの処刑された街ローグタウンに立ち寄り、道化のバギーに公開処刑されそうになる瞬間に、雷によってルフィが幸いにも救われる、という場面です。

この１２巻の冒頭で、バギーが雷に打たれ、死んだと思いきや、生きていた際に、部下から、「バギー船長、生きてたんすね!?」と聞かれ、バギーが、「生きらいでか!!!」と強く叫びます。

画像 : 尾田栄一郎『ワンピース』１２巻

そういえば、この「生きらいでか」みたいな言い回しが、バギーの口癖だったような気がするなと思い出し、他にも、「やらいでか」という言葉も使っているようです。

昔、読んでいたときは、この言い方に対して特段疑問に思わず、あまり深く意味も考えず、その勢いと言葉の雰囲気から、なんとなくのニュアンスで捉えていたように思います。

しかし、改めて考えてみると、一体この「生きらいでか」「やらいでか」といった表現は、何に由来する言い方なのでしょうか。

どうやら、「やらいでか」という言葉は、かつて江戸っ子が使っていたとされる、「やらないでいられるか」の略で反語的に「やってやろうじゃねぇか」という意味の言葉のようです。

提案に積極的に乗る意思を示したり、意欲満々の意気込み・威勢を表明したりする意味で用いられる、掛け声に類する表現。言葉の意味としては「やらないままでいられようか」というような言い回しを約めて転訛したものと解釈できる。江戸時代あるいはそれ以前の下町の庶民的で荒っぽい言い方というイメージで用いられることが多い。

出典 : やらいでか｜実用日本語表現辞典

ある種の方言ということでしょうが、テレビにしても、知り合いにしても、現在で実際に使っている人を見たことはありません。

この「やらいでか」のニュアンスで、「生きらいでか」という言葉の意味を考えると、「生きていないことがあろうか」となり、ひっくり返って「生きているわ」といった意味になるのかもしれません。

また、僕は読んだことがありませんが、『呪術廻戦』でも、「分からいでか」という言葉が出てくるようです。

この「分からいでか」も、反語表現で、わからないわけがあるか、とっくに理解している、という意味になるようです。

「わからいでか」とは「わからないわけがない(＝わかるに決まってる)」という反語表現です。「わから・いで・か」と分けるのですが、それぞれの意味を細かく追いますと「わから(知ってる・理解している)・いで（否定の意味・～ない）・か（反語の意味・～であろうか、だろうか）」になります。

直訳すると「(それが)わからない(ということがある)だろうか」という表現になります。

否定の「いで」を反語の「か」でひっくり返すことにより強い肯定の表現へつながります。

砕けて現代風に言い直すと「(それが)わからないなんてことがあるか＝わからないわけないだろう」という表現になります。「わからいでか」とは「わからない」ことを強く否定し、自分がその事柄を「わかっている・とっくに理解している」という肯定の表現です。

出典 : 「わからいでか」の意味と使い方・方言で使う地域・語源

以上、「やらいでか」「生きらいでか」の意味でした。