長友佑都（サッカー選手）と花粉症
春になると、とにかく花粉症が辛い、という人も多いでしょう。
花粉症と言えば、今や国民病の一つとして、大人から子どもまで、多くの人が苦しんでいる症状です。
花粉症の季節としては、春先から初夏くらいまでが特に辛い時期で、スギやヒノキの花粉の飛散量のピークは大体２月〜４月頃と言われています。
花粉症は、日常生活において、症状だけでなくストレス含めて多大な影響を及ぼしますが、スポーツ選手や部活動を頑張っているアスリートにとっても、パフォーマンスに大きなマイナスになるでしょう。
屋外が基本のサッカー部や陸上部のようなスポーツを行なっている子どもや選手にとっては特に、花粉症は天敵で、鼻水やくしゃみで、練習でも試合でも集中力を欠くでしょうし、日常のストレスや睡眠不足など、様々な悪影響を与えることになるのではないでしょうか。
部活動に限らず、学生にとっては、集中力が奪われ、受験勉強にも影響があるという声もあります。
花粉症対策としては、マスクで花粉を防いだり、メガネで付着しないようにする、といった工夫以外に、手洗いやうがい、洗顔、帰ったら服を着替える、シャワーを浴びる、といった方法も挙げられます。
これらは基本的に、「花粉というアレルゲンに曝露する量を減らす」という考え方による対策です。
それから、もう一つの花粉症対策として、「アレルギー体質」自体が増えている問題も考慮してみると、身体面の原因も大きいと考えられ、特に、「花粉症」と「腸内環境」の問題を指摘する声があります。
たとえば、以下の記事では、「花粉症」対策の一つとして「腸内環境」という視点から取り上げています。
花粉症は免疫の過剰反応
なぜ、花粉症と腸内環境に関係があるのでしょうか。カギとなるのは花粉症が起きるメカニズムと免疫の関わりです。
「花粉症は、スギなどの花粉が鼻などの粘膜から体内に入って起こるアレルギー反応です。免疫機能は、体に細菌やウイルスなど有害な異物が入ったときに退治するものです。ところが本来有害でないはずのものを攻撃してしまい、体にとってよくないことが起きるのがアレルギー反応です」(草間先生)
腸は免疫器官でもある
腸の働きといえば食べ物の消化吸収が思い浮かびますが、実は免疫にも大きく関わっています。
（中略）
腸内フローラのバランスは、人種や年齢、生活習慣など、人によって異なります。バランスが悪くなると免疫機能の働きが狂い、アレルギーを増加させる一因だと考えられています。花粉症患者と健康な人の腸内フローラを調べたところ、花粉症患者では発症時期に変動するという研究もあります」(草間先生)
腸内環境の乱れと言えば、当然、「食事」の影響が大きいと考えられます。
時代による食生活の変化によって腸内環境の悪化を招き、アレルギー体質が増え、数々のアレルゲンに反応しやすくなった（実際はもっと色々な原因が入り組んでいるにせよ）ということもあるかもしれません。
花粉の問題に限らず、昔はアレルギーの問題がほとんどなかったというのは、そういった可能性を示唆しているとも言えるのではないでしょうか。
長友佑都と花粉症
サッカーの日本代表として長年活躍している長友佑都選手は、ヨガや体幹トレーニングの他に、食事へのこだわりが強いことでも知られています。
その長友選手の著書『長友佑都の食事革命』のなかで、食生活の改善によって花粉症も良くなった、ということが書かれています。
食事を大胆に変えてから３ヶ月で、花粉症だけでなく、持病の胃腸の具合も改善され、皮膚科通いだった肌も綺麗になり、疲労回復も早まったと言い、また、集中力も高まったそうです。
日頃から、自分の身体の状態について敏感にセンサーが働くアスリートの体感であり、実際に結果も残してきた選手の言葉なので重みもあります。食事による体調や集中力に関する著しい変化は、まず間違いないと言えるのではないでしょうか。
最近は、「腸活」といった言葉もよく目にしますが、腸内環境は、精神疾患などとの関連も指摘されているので、身体にとって相当根っこの部分なのでしょう。
そして、食事の大胆な改善によって、腸内環境も整い、花粉症含め、色々と表に出ていた症状が緩和されたのかもしれません。
ちなみに、長友佑都選手が挙げている「食事革命」が、以下の１０点です。
革命１ 白い砂糖を断つ。
革命２ 食材の数に注目する。
革命３ タンパク質補給術を考える。
革命４ 油について考えてみた。
革命５ 野菜の摂取量とベジブロス。
革命６ 朝のスムージーで体内に活力を！
革命７－１ 糖質制限食を実験してみる。
革命７－２ セミケトン食にシフトする。
革命８ 主食を玄米に替える
革命９ 食べる順番を考える。
革命１０ ミネラルをチャージする。『長友佑都の食事革命』｜マガジンハウス
食事は、ひとまずいっぺんに変えた方が、変化も体感的に分かりやすく、大胆に変革したことから、どの食事がどの部分に直接的に効果があったか細かくは定かでないものの、その大胆な変化の甲斐もあり、はっきりと効果は出ているようです。
実際、この一つとして挙げられている糖質制限に関しても、Twitterで「糖質制限 花粉症」と検索すると、花粉症が改善したという声は数多く見られます。
また、花粉症と食事で言えば、「グルテンフリーによって花粉症が治った」という声も聞きます。このことは、アスリートではありませんが、俳優の斉藤工さんが、実体験として語っています。
「小麦を食べるのをやめたら、いろいろな現代病が改善されて、花粉症も治ったんです」
これも結局は、腸内環境の問題に繋がっています。
アスリートとグルテンフリーで言えば、競馬のジョッキーの戸崎圭太騎手が、グルテンフリーを取り入れ、結果に繋がったという話をしています。
戸崎 もともと暑さにはあまり強いほうじゃなかったんですけど、食事をちょっと気を付けるようになってから夏場が楽になったことも僕のなかでは大きくて。
──どんな食事をされているんですか？ 企業秘密でなければ教えてください。
戸崎 2年くらい前からグルテンフリーを心掛けるようになったんです。基本的に麺、パン、揚げ物はダメなんですけど、米、肉、魚はOKなので。
──食生活を見直すにあたって、なにかきっかけがあったんですか？
戸崎 2年少し前に、ちょっと体調を崩しまして。それで、トレーナーを介して栄養学の専門の人を紹介してもらったら、それは腸内の問題だと。腸内環境を整えるために、まずはグルテンを抜いてみようということでやり始めたんですけど。（中略）今ももちろん暑さは感じますけど、昔のように「ああ、しんどいなぁ」っていうのはなくなりましたね。
もともと暑さが苦手だったという戸崎騎手ですが、今では、「夏男」と称されるほど、強さを発揮しています。
グルテンフリーを行なったアスリートでは、世界一のテニスプレイヤーであるジョコビッチ選手も、食事を変えたことで偉業を成し遂げ、食事に関する本も出しています。
ジョコビッチ選手は、食事を変えたことによって身体だけでなく、メンタル面も安定します。
約１年、２０１１年７月までに、ジョコビッチはまったくの別人になっていた。5キロ軽くなった体は強靭で、それまでで一番の健康体となっていた。メンタル面でも安定してより楽観的になり、脳内の霧が消え去ったように集中力が増した。そして生涯の目標だった2つのゴールに到達した。ウィンブルドン優勝と、世界ランキング１位だ。
ジョコビッチを「そこそこいい選手」から「世界最高の選手」に生まれ変わらせたのは、新しいトレーニングプログラムでも、新しいコーチでも、新しいスタイルのサーブでもなかった。それは、新しい食事だった。
食事が心身にとってどれほど大きな変化をもたらすかが、結果として分かりやすく現れる好例と言えるでしょう。
プロ野球の世界でも、工藤公康さんが書いた食事や運動、メンタルケアといった健康管理に関する対談本『４０歳から進化する心と体』のなかで、断食によって花粉症が改善した、ということが語られています。
断食によって腸内環境がリセットされ、体調全般が整うということなのでしょう。
断食を数日間行うと、体重が落ちるだけでなく、体の中の悪い老廃物が排出されます。……これにより体質が変化し、普段の体調もすこぶるよくなるのです。花粉症やアレルギーなどの症状が軽くなることもあります。（渡辺医師）
断食に関しては、工藤さんの影響を受け、メジャーリーグのダルビッシュ有投手も行なったという記事を読んだことがあります。その記事によれば、プロ野球界では多くの選手が断食を取り入れているそうです。
ダルビッシュ投手と言えば、トレーニングはもちろん体調管理に対してもストイックなことで有名です。食事にもとても気を使っており、コンディショニングの一環として、ファスティング（断食）を取り入れたことで知られています。
ダルビッシュ投手だけでなく、今では多くのプロ野球選手がファスティングを取り入れているようですが、プロ野球界で初めて本格的にファスティングを取り入れたのは、ダイエーや巨人のエースとして活躍し、４７歳まで現役を務めた工藤公康氏。
アスリートは特に身体が資本で、実際に自分でも体験し、その変化に敏感ですから、アスリートの実践している健康法は、結構信頼できるのではないでしょうか。
また、長友選手と同じサッカーの世界で、世界のスーパースターであるメッシ選手が、食事を変えたことによってパフォーマンスを取り戻したことでも知られています。
メッシの食生活の内容を見ると、「自然食品や雑穀、旬の果物や野菜、エキストラバージンオリーブオイル、卵、そして新鮮な魚などを使用」したとあり、一流のアスリートが取り組む食生活というのは、一般的に大事にしたほうがいいものと基本的に変わらないことが伺えます。
最近で言えば、メジャーリーガーの筒香選手も、メジャーに行ってなかなか成績を残すことができなかったものの、抜本的に食事を変えたということで話題になっています。
アスリートが、今続々と食事を軸にした体質改善に取り組み、その結果として、成績が向上したり、パフォーマンスが上がったり、集中力やメンタル面の変化、また花粉症が治ったりと、色々な変化が見える、というのは、一つ大きな参考材料になるのではないでしょうか。
プロスポーツ選手だけでなく、部活動を頑張っている子どもたちにとっても、活躍するアスリートの食事によってはっきりと見られる様々な変化は、食生活を見直すよいきっかけになるかもしれません。
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